職場内で品質管理活動を行うQCサークル。第18回発表大会では浜松工場の「はやぶさ」チームが優勝しました。その取り組みはどのようなものだったのでしょうか。主要メンバーに集まっていただき、活動内容をインタビューしました。
年間21.6tという膨大な計量ロスに挑む
――今回、発表した活動内容はどのようなものだったのでしょうか。
K.T:発表したテーマは「No.1ラインの『収率改善』」です。成形された製品は様々な工程を経て梱包というゴールに到着する段階でどうしても誤差が生じます。もちろん基本的には20kg以上という重量を確保していれば製品として問題はありません。しかし実は誤差で生じるロスはわずかに見えても期で計算すれば大きな数字になることが判明したのです。そこで「はやぶさ」チームでは、この問題解決に取り組みました。
――まず進めたのはどのような内容だったのでしょうか。
J.N:誤差が生れる原因がどこにあるのか。それを見つけることが先決でした。全工程をチェックし、製品の硬さと搬送速度の組み合わせによっては計量の精度に悪影響を与えることがわかりました。
A.T:冷却工程でのバラツキを解決していくためにはシャワーの調整が必要だとわかりました。適切な条件を見つけるために検証を重ね、一つずつデータを取っていきました。
To.I:搬送速度は、どの製品に対しても一定に設定していたのですが、硬さによって変えることで計量誤差が生じにくいことがわかってきたのです。盲点でした。そこで硬さと搬送速度の関係を見直しました。
あらためて気づいたチームワークの大切さ
――この取り組みによってどのような成果が得られましたか。
K.T:計量のロスを抑えることで想像以上の金額効果を確認できました。計量器やラインを新しいものにするなど投資をすれば同じ結果がもっと簡単に得られたかも知れません。しかし、「はやぶさ」の取り組みは現場の工程を改善することでほとんどコストをかけずにそれが実現できました。そこに大きなポイントがあると思います。
――このような実りの多い活動ができた要因はどこにあったと考えていますか。
K.T:新人もベテラン組も同じ方向を向き、チームワーク良く、進められたところではないでしょうか。このことで無駄のない動きができ、一人ひとりの力を大きく活かすことができました。
QCサークルの中で人材が育っていく
Ta.I:私は初めて資料づくりに携わりましたが、先輩たちの親切なアドバイスのおかげで最後まで務めることができました。
T.M:発表までに何度か上司に資料をチェックしていただきましたが、「大変見やすい」と言われ、やる気もアップしていきました。モチベーションを最後まで高く持てた点も良かったと思います。
K.N:私はQCサークルの活動自体が初参加でしたが、この活動を通して生産ラインの全体感も深く理解できました。改善活動に携わることで自分自身も成長していく、そんな毎日が楽しかったですね。
Ta.I:私は入社するまでパソコンは苦手だったのですが、この活動のグラフ作りなども行うことで驚くほど上達したと思っています。
K.T:第19回は、新しいチーム名で再び参加したいと思っています。次回も優勝を狙います!
苦労した点
現状把握の収率ロス分析で、全体ロス量から今回のテーマである『増し目』ロスを、どのように数値化し、どのように表現するかが最初の課題でした。品番別で層別しても傾向が見られず途方にくれましたが、それでもヒストグラムを作成しながら皆で意見交換する中で『硬さ』のキーワードにたどりつきました。